会社の上役や先輩、同僚にはさまざまな人がいます。年齢が離れた人もいれば、考え方がまったく違う人もいます。仕事をスムーズに進めるには、そういった人たちと円滑にコミュニケーションをはかることが大切です。
第一節 失敗を未然(みぜん)に防(ふ せ ぐ)ぐコツ
多くの会社では派閥(はばつ)ができている場合があります。部署内の「部長派」「課長派」といったようなものから「社長派」「専務派」などの実力者どうしの対立、また、女性社員の小さなグループなどです。
「どちらかというと部長より」というレベルのものなら問題はないのですが、これらの派閥が他を排斥(はいせき)するような動きになったときは。職場の雰囲気が悪化(あっか)します。このようなトラブルに巻き込まれないようにしたいものです。
派閥を避けた交際 特定の上役.先輩.同僚とだけと付き合うことは避けます。
仕事以外の場所、たとえば食堂、昼の軽いスポーツや散歩、終業後のマージャンや飲食(いんしょく)、果(は)ては個人の家庭への訪問など、いつも特定の人たちとだけ付き合っていると、本人は「誘われたから。」、「帰る方向が同じだから。」、「寮の近所だから。」などと軽く考えていても、周囲はそうは理解しないことが多いです。最初からその気がなくでも「彼は○○派だ。」などとレッテルをはられたり、「あいつは係長に何を取り入っているんだ。」などと、痛くもない腹をさぐられることもあります。
若いうちはできるだけたくさんの人と接触(せっしょく)して、多角(たかく)的に多方面に友人、知人を得て人生を学んでいくようにするべきです。
コネで入社したり、同郷や出身学校の先輩などにはつい、他の人よりも接触が多いものですが、恩は恩、義理(ぎり)は義理ときちんとわきまえて、極端にべたべたした付き合いや依存関係は避けたいものです。
イヤな人の長所を探します イヤな人がこちらのシャクにさわるのは、こちらがイヤな人だとおもっているのに、誰も白い眼をしてその人をのけ者にしようとしなかったり、そういう人にかぎって上役や同僚の信任が厚かったり、後輩から好意をもたれていることが多いためです。だからよけいにイヤな人と悪感情を持つことがあります。
このことは裏返(うらがえ)せば、イヤな人だという判断は客観的に下したものではない、ということになります。主観的な感情がそうさせているのかもしれません。そこで、自分がイヤだとおもっていても他の人がほめたり、好意を持っているなら、そのイヤな人の長所や美点(びてん)を探してみることです。きっとどこかに共感や納得(なっとく)できる点があるはずです。とするなら、他のイヤな面はつとめて無視してその人の長所、美点を認めることです。そうすれば感情的に好意がわいてくる面が必ずでてきます。
オフ?ビジネスのタブー 一日の仕事が終了すれば、さっさと家路を急ぐというわけにはいけません。勤務終了後のちょっとした付き合いや、仕事中のプライベートな接触などが逆に仕事に興味をわかせたり、職場の連帯感を醸成(じょうせい)することが大きいのです。
事実、仕事がつまらない、会社が冷たいとこぼす新入社員の中には、このようなオフ.ビジネスの交際を拒否(きょひ)しているケースも多々あるのです。
他人のかげ口、噂話(うわさばなし)の発信人になりません 口うるさい先輩や上役の姿が見えなくなったとたんに、誰ともなくその人の悪口を言い始めることはよくあることです。なかには先輩が上役の悪口を言って、あなたに同調や同感を求める光景も見ることがあります。
悪口や噂話の発信人になると、つぎつぎとそれが増幅(ぞうふく)され拡大され、当の本人の耳に入ったときはびっくりするほど針小棒大(しんしょうぼうだい)な話になっていることがあります。悪口や噂話(うわさばなし)の発信人になってはいけません。中継所(ちゅうけいじょ)になってもいけません。あなたのところで終着駅(しゅうちゃくえき)にしてしまうことです。つまり耳に入ったら軽く聞き流してしまうことです。
プライベートなニュースは相手が言い出すまでは話題にしません
「ところで係長は大学のゼミは何をとったのですか。」
「課長の学生時代のお友だちはどんな会社に就職している人が多いんですか。」
「主任の奥さんはイトコの方とききました。」
たとえ悪気(わるぎ)がなく、話を盛(も)りあげようとして口にしたとしても、こういうプライベートな話題は相手が言い出すまでは無遠慮(ぶえんりょ)に口にするのは慎(つつし)むべきです。人にはそれぞれ、他人にわからない人生体験があり、心の深奥(しんおう)には複雑な軌跡(きせき)があります。それをおせっかいにあなたが辿(たど)ることはないのです。他人への好奇心はひかえめにしておくことです。
他人の趣味や道楽(どうらく)にはケチをつけません 趣味や道楽は人生の憩(いこ)いで、オアシスです。人から見ればつまらないことでも、本人にとってはこの趣味があるから人生を楽しくすごしていることもあります。囲碁(いご)、将棋(しょうぎ)、麻雀(まーじゃん)、ゴルフ、盆栽(ぼんさい)、切手やマッチのラベルのコレクション??????。人の数だけ趣味や道楽があると思ってよいです。
仕事では上役、先輩には敵わないが、趣味の話なら新入社員でも口を差しはさむことができるというわけで、軽く批判したつもりでも相手にとってはケチをつけられたようにも感じることがあります。「食物のうらみはこわい」といいますが、好きでやっている趣味や道楽にケチをつけられたと感じたうらみも、これまた食物以上にこわいものがあります。
社内の金銭貸借(たいしゃく)はなるべくしません
「わるいけど2千円ほど貸してくれないか。」
「給料日に精算(せいさん)するから3千円貸してくれ。」
など、額が小さければ小さいほど気軽に貸し借りを口にしやすいです。しかし気軽ということは忘れることも多いです。
返済(へんさい)をキチンとしなければ、貸したほうも借りたほうも次第に精神的な負担になります。といって貸したほうは小額なら「あのお金、いつ返してもらえますか。」と聞くのも口はばかるし、借りたほうも借りたことを棚にあげて「それっぼっちのお金を催促するなど、がめついやつだな。」と弁解(べんかい)をしかねません。金銭貸借(たいしゃく)はなるべく避けるに越したことはありません。
アルコール?リレーションの心得 就職後のちょっといっぱいからはじまって、忘年会、新年会、親睦旅行会(しんぼくりょこうかい)、招待会,懇談会(こんだんかい)など、会社に入るとアルコールに接する機会が非常に多いです。アルコールとともに人生は語られ、グチが飛びかい、悲憤慷慨(ひふんこうがい)あり、明日のビジョンが展開され、ヒソヒソと会社の人事ニュースが潜航(せんこう)するなど、仕事の場では見られなかった人間模様が醸(かも)し出(だ)されます。まさに酒席は「人生劇場」の一コマともいえます。人間関係が親密化するのも酒席(しゅせき)なら、破壊されるのもこれまたアルコールのとり持つ縁ということになります。
酒の誘いはむやみに遠慮したり,ガツガツしたりしません 「今晩一杯飲もう。」と上役、先輩から誘われることがあります。仕事が終わった後にまた彼らとつき合うのでは、自分の自由時間がなくなると考えて、「ほかに予定がありますから。」とさっさと帰ってしまう若者が増えています。しかし、酒のつき合いも仕事のうち、と信じている上役、先輩は、こんな新入社員のそっけない態度に「まったく今の若いヤツはつき合いをしらない。」と不快感を持ちます。
たしかに上役、先輩と酒を飲んでも窮屈(きゅうくつ)な思いをすることは事実でしょう。友人とワイワイ、ガヤガヤ楽しむようなわけにはいきません。しかし、誘われたとき、3度に1度ぐらい「ありがとうございます。」と素直に受けることです。待ってましたとばかりにはしゃぐのもみっともありません。酒席でブスっとしたり、ここぞとばかりガツガツ飲み食いするのも、ほめた図ではありません。
酒席のタブー 酒席(しゅせき)がその人間の命とりになることがあります。といってもフグに当たるとか深酒(ふかざけ)で心臓麻痺をおこすということではありません。酒席でのマナーや、つい口がすべったことが本人のビジネス生活に一生汚点(おてん)となって残るということであります。心すべきであります。
●経営方法や人物判定について批判めいたことは言いません。
●会社や上役について悪口を言いません。
●ふだん猫をかぶったようにおとなしい人が、意外と酒席では饒舌(じょうぜつ)になってヒンシュクを買うことがあります。
●得々(とくとく)と知識をひけらかしてはいけません。
●宴会の余興(よきょう)でナンバーワンや寵児(ちょうじ)になってはいけません。しょせんはその場かぎりのことです。芸達者(げいたっしゃ)が翌日の仕事に評価されることはありえません。
●酒席を利用して自分を売りこんだり、日ごろの言動(げんどう)を弁解したりしてはいけません。
異性社員とのつき合い 職場生活の楽しさはチームーワークで仕事を立派になしとげたとき、帰りに気持よく酒が飲めたとき、昼休みに軽いスポーツやら囲碁、将棋、談笑(だんしょう)に興(きょう)じたときなどいろいろありますが、異性の存在も楽しさの一つです。
男性社員にとって美しい女性社員の存在は、彼女たちの持っているやさしさ,しとやかさ,清潔さ、こまかい気配りの良さなどを感じさせるもので、それらは仕事に直接に影響します。もちろん女性社員も立派な戦力(せんりょく)として期待される以上、彼女たちとの接触は男性社員たちに接すると同様に相互(そうご)尊敬の念を持つのは当然でしょう。
しかし、女性社員とのオン?ビジネス、オフ?ビジネスの接触のしかたが逆に職場生活を味気(あじき)ないものにしたり、あらぬ疑惑(ぎわく)の眼で眺められかねないこともあります。
先輩女性に甘えるな、同僚女性に先輩ぶるな 女性はおおむね世話好きです。この心理は多分に女性全体に共通する母性愛(ぼせいあい)的なものから出発しているのでしょう。しかも彼女たち先輩女性社員は男性社員のように頻繁(ひんぱん)に配置転換(はいちてんかん)はありません。このことは裏返せばルーティン?ワ-ク(日常の事務)においては新入社員がとてもかなわないベテランです。この先輩女性社員たちがやさしい心づかいで、仕事にとまどっている新入社員に手をさしのべてくれることがあります。だからといって「彼女はオレに気がある」とか「特別に私を意識している」などとうぬぼれないことです。
助力(じょりょく)してくれるのをいいことに、なんでもこわい先輩に相談するよりも、やさしい女性社員に話を持ちかけるなどの甘えも禁物です。
また同僚の女性社員に先輩ぶった顔で、些細(ささい)な用事をいいつけるのもやめたほうがよいです。「kちゃん、これコピーしておいてくれよ。」「ミッちゃん、オレ昼ザルそばだから早目に注文してくれ。」などと言ってはいけません。
女性社員に平等に声をかけます。机が隣り合わせだから、毎日親切に仕事を教えてもらっているからといって、個人的に終業後に食事や喫茶に誘ったり、昼の休憩に連れだって散歩に出かけたり、プレゼントしたりはしないことです。
入社早々(そうそう)に特定の女性社員と親しくつき合うのは、その真意(しんい)に不純なものはなくとも、周囲の目から見ればあまりよいものではありません。女性社員の多い職場ではヘタをすると全女性社員から反感(はんかん)を買い、つまらぬことを上役に告げ口されることもあるからです。
女性のいやがる話題を口にしません 仕事もまだロクにできないのに、男女間の微妙な雰囲気には敏感であったり、わざと女性社員が嫌悪感(けんおかん)をもつようなことを口にしたりする新入社員がなきにしもあらずです。当の女性社員や上役、先輩の眉(まゆ)をひそめるようなことはすべきではありません。
女性のいやがる話題は慎みましょう 女性社員の容貌(ようぼう)やファッションの批評をしません。特定の女性社員の長所、短所を周囲に言いふらしません。虚栄心(きょえいしん)や嫉妬心(しっとしん)をあおるような言動はしません。
第二節 上役、先輩との接し方
上役や先輩と接するときは敬意を持って謙虚(けんきょ)な態度を心がけましょう。呼ばれたらまずは返事をします。メモをとる用意をして早めに相手の席まで行くようにしましょう。
指示を与えられたときはそれを忠実(ちゅうじつ)にこなし、約束の期限を守ります。長くかかりそうなときは中間報告をするなど、まめな報告も必要です。部下が何をしていて、どのような状況にあるのかつかめない状況を、上役は不安に思うものです。上役が気にする前に逐次報告をしましょう。現状を把握してもらえ、その都度アドバイスをもらうこともできます。
こうしたことの積(つ)み重(かさ)ねにより、上役、先輩との信頼関係が深まっていくのです。
上役、先輩の間でまごつかないために
①人それぞれの気質や性格を早く理解した方がいいでしょう。ちょっとした失敗を「まあ、いいさ」と笑ってすます上役、先輩もいれば、目くじらをたてて叱る人もいます。前者がいい人で、後者が悪い人ときまっているわけではありません。人間は自分にとって好感をもてる人はよい人で、そうでない人には悪感情を抱きやすいですが、これではいつまで経ってもお互いに理解することはできません。なぜなのか、どうしたらよいか、をたえず考えながら仕事を進めれば、上役、先輩があなたに対する態度も次第に変わってくるし、同時に彼らの気心(きごころ)も知ることができます。
②ちょっとした注意が必要なこと。
●他人(来客や社内の人)と用談中(ようだんちゅう)の相手に急用を伝えたいときは、必ず「お話し中失礼ですが。」と断ります。
●親しい先輩だからといって、ぞんざいな口はききません。
●くわえたばこで廊下を歩いたり、たばこを吸いながら上役、先輩の指示を受けてはいけません。
●パソコンや電卓(でんたく)を使っている人に話し掛けるときは時期を見はからいます。
上役、先輩との接し方のポイント
① 人生のベテラン、豊富な体験の持主という尊敬の気持を失わないこと。
② 進んで助言や忠告を求めること。
③ 接する機会を多く持ち親しみを持つこと。
④ 悩みごとの相談にのってもらうようにすること。
⑤ かげで悪口を言わないこと。
⑥ 先輩をさしおいて出しゃばらないこと。
⑦ 好き、嫌いの感情を露骨(ろこつ)に出さないこと。
⑧ 派閥のなかに巻き込まれないこと。
上役、先輩に質問するとき、答えるとき
上役、先輩に質問するときは、つぎのような順序がよいです。
上役、先輩の情況をみる→②呼びかける→③相手の返事によって都合を聞く→④その後、必要な事柄を要領よく聞く。
たとえば、上役が自分のデスクで資料に目を通しているとします。
自席で上役を見て今大丈夫だと判断がついたら(①)、そばへ行って、「部長」(②)と呼びかけます。
「ン、なんだい?」、「いまよろしいでしょうか。」(③)
「ウン、いいよ、何かね。」
「実は先日からのA社の当社に対する仕様変更の件ですが?????。」
ところで問題は(③)の質問内容の述べ方ですが、一人よがりの述べ方はいけません。
「先だってのアレですがね、どうも時期的に遅いもんですから、ちょっとウチでは今ごろになってはムリですね。どうしますか。」
これでは、アレとは何か、時期的に遅いとはどの程度遅いのか、ムリとはどういうことなのか、そして結局どうしようというのか、上役にはさっぱりわかりません。上役が聞き返さなくてもいいような質問のしかたをすべきです。
「先だってからのA社の当社に対する仕様変更の件ですが、工事にとりかかって二ヶ月経った現在では、工事の進行と資材の関係で先ず変更は80%無理です。A社からはそこを何とかと言ってきているのですが、部長のお考えはどうでしょうか」。
このやり方なら部長も指示しやすく、答えやすくなります。
要するに、答えを出しやすくする“問い”が適切な質問や照会ということになります。
ま た、上 司や仲 間と のつ よ い信 頼関 係を保 つに は、「ほ う、れ ん、そう、(報 告、連 絡、相 談)」が大 切です。
質問に対しての答え方
上役、先輩の質問の意図を察して答えることが立派な応対になります。
たとえば、遅刻したとき、上役が青筋を立てておこります。
「今ごろ何時だと思ってるんだ。」
「ハア、9時35分です。」
これでは「このバカもの!」とやられます。
「申しわけありません。ご迷惑をおかけしました。」ぐらいのことは、上役の胸中を察すればすぐ口をついて出てくるはずです。
「木村君、キミに頼んだ書類はどうした?」
「はい、あと1時間ほどおまちくださいませんか。そうですね、遅くとも3時半までには全部できます。」と具体的な時間を示せば上役は安心します。
「鈴木君、きのうキミに話した件だがね。もうすこし伏(ふ)せておいてくれないか。」
「はい、承知しました。伺わなかったことにします。何でしたら、メモを破りましょうか。」と相手の意図を察し、警戒心(けいかいしん)や不安を拭(ぬぐ)い去(さ)る応対もビジネスでは必要になってきます。
叱られたときはどうしますか
人は誰でも自分の知らない自分をもっています。たとえば、自分の寝顔を見た人もいなければ自分のイビキを聞いた人もいません。しかし、自分の知らない自分のことは他人はよく見ているものです。その知らない、気づかないところを指摘されるのが小言(こごと)、注意、叱責(しっせき)、忠告ということです。
注意や叱責を受けたら
①素直(すなお)に詫びます。
言いわけや申し開き、反発などは謹むことです。もし相手が誤解しているなら、最後まで聞いてから「おコトバを返して申しわけありませんが、」と静かにこちらの意見を述べればよいです。
② 聞きながら相づちをうつことです。
沈黙したままで相手の言い分を聞くことは、相手は自分の言い分を無視している、反感を持っているなどとうけとります。だからこれに耐え切れなくなったとき相手は言うものです。「黙っていないで何とかいったらどうだ。」「返事くらいしたらどうなんだ。」と。
③納得(なっとく)したら決意や誓(ちか)いを述べることです
「申しわけございません。今後はこういうことをしないようにします。」「おっしゃるとおり、今後は今のお言葉を生かすように努力します。」などです。ただし、これらが当面の相手のホコ先をかわすだけの言葉であってはならないのはもちろんです。
発言(はつげん)のエチケットを守る
①発言のエチケット ?発言を独占(どくせん)しません。?他人の話の腰を折りません。?他人と同じことを繰り返しません。?感情的でなく理性的に考えます。?思いつきで話しません。?身近な事実を基(もと)にします。?理解できるコトバを使い、聞こえる声を出します。?目的に沿った内容を話します。?皮肉や当てこすりは言いません。?相手がムッとするような質問のしかたや反対意見の述べ方はしません。
②ひそひそ話はやめます 提案や趣旨(しゅし)の説明があったり、意見が発表されているのにもかかわらず、隣り近所とひそひそ話をするのは見苦しいのを通り越して勘(かん)にさわるものです。
もしもそのひそひそ話が議題に関係のあることで自分に理解できないものなら、挙手(きょしゅ)をして質問するなり、司会者や議長に問(と)い正(ただ)すべきです。ところがたいていの場合は当面の議事や内容に関係のないものが多いので困るのです。
③ 他人の発言をよく聞いていることです
「それはキミ、A君がさきほど言ったじゃないか。」「何回同じことを言わせるんだ、もっとよく聞いていなければだめじゃないか。」「キミは何を言っているんだ。そんなことを聞いているんじゃないよ。」などと非難されるのは、ほとんど他人の発言を聞いていないことからおこります。
もしも他人の発言がよく聞こえなければその旨を言うなり、聞える席に移動するなり積極的姿勢がほしいです。まして、発言をうながされて、「何ですか?もう一度言ってください。」「すみません、ちょっとほかのことを考えていたもので?????。」は醜態(しゅうたい)です。
④ 他人の発言を認める言い方をします。
どのような発言でも、すべての人に認められたり、受け入れられたりするとは限りません。自分の意見が認められない、または受け入れられないとき、反対意見を率直(そっちょく)に満席の中で言うのはどうでしょうか。一応は発言者のプライドを守り、つぎに自分の意見を相手に受け入れさせるムードをつくることが必要になります。「いまのAさんの意見ですが、Aさんの立場ではごもっとものことと思います。しかし私は別の面からこんなことを考えたのですが?????。」「B課長のおっしゃったことを非常に興味(きょうみ)深く聞かせていただきました。ところで課長のお話の中にちょっと腑(ふ)に落ちない点があるのでお聞きしたいのですが?????。」という具合に言えばよいでしょう。