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7.格助詞のまとめ

来源:庭三郎 作者:日语港 时间:2010-02-14 阅读:4167

7.格助詞のまとめ

7.1 が
7.2 を
7.3 に
7.4 へ
7.5 で
7.6 と
7.7 から
7.8 まで
7.9 より
7.10 格助詞の重なり

これまでは、述語の方から考えて、その述語がとる補語についてみてきましたが、
ここで、逆にそれぞれの格助詞の用法をかんたんにまとめておきましょう。後で複合
述語とともに使われる場合の用法も参考までにあげておきます。


7.1 が
 最も基本的な格助詞です。動詞文・形容詞文・名詞文のすべてに使われます。
①主体   存在・状態・動き(動作)・変化などの主体
     人がいる   人が転ぶ   雨が降る   色が変わる
     空が赤い   桜がきれいだ   
②対象(一部の述語) 「は・が文」で動詞は状態性
     英語が分かる/要る   スキーができる/好きだ/上手だ
     漢字が読める(複合述語 →「25.3 可能」)
     スキーがしたい(複合述語 →「37.希望」)
 ③側面
     彼女は色が白い。
     このひもはちょっと長さが短い。
 名詞文に使われる「が」をどう考えるかは難問です。(→ 6.1.1)


7.2  を
 動詞文に特徴的な格助詞です。形容詞文・名詞文には原則として使われません。
①対象  物理的・抽象的な働きかけの対象(→ 6.2.1))
     本を読む   嘘を言う   物を壊す   穴を掘る     
     人を愛する   足の骨を折る   風邪を引く
②移動の場所  移動の自動詞
     道を渡る   歩道を歩く 
③出発点  移動の自動詞
     国を離れる   部屋を出る   大学を出る 
④使役の対象  複合述語の対象 (→「25.2 使役」)
     子供をあそばせる   人を笑わせる   腕をぶらぶらさせる
 例外的に形容詞文や名詞文で使われるのは、次のような場合です。
     私は彼女のような有能な人を秘書に欲しい。
     今、ワープロソフトをインストール中です。(→ 2.9)


7.3  に
 用法の広い格助詞です。基本的な意味は何らかの意味での「点」を示すことでしょう。
形容詞文にも多く使われます。「受身」や「使役」という「ボイス」にも使われます。
①目的地・到着点  物理的・抽象的移動  「へ」に近い
     家に帰る   部屋に戻る   いすに座る
     家に呼ぶ/招待する   棚に置く/並べる   部屋に運ぶ
     上に伸びる   天井に届く   駅前に止める  家に泊める
②存在の場所    物理的・抽象的
     家にいる   結論に問題がある  
     この病気は子どもに多い
③対象 「到着点」と同じ方向性がある
     人にかみつく   人に頼る      仕事に慣れる
     人に親切だ   仕事に熱中する   地理に詳しい  
 ④相手 対象の「Nを」がある場合    「到着点」と同じ方向性がある
     人にものをあげる/文句を言う/手紙を書く 
 ⑤恩人 「Nから」とも言える 
     人にもらう/借りる/教わる
⑥時点 時間の一点(長くても)
     2時に会う   縄文時代に発達した
⑦原因  生理的・心理的な原因が多い
      物音に驚く   酒に酔う   雨に濡れる
⑧基準
     親に似ている   服に合う       仕事に要る/必要だ
     私には難しい   この仕事に適当だ   駅に近い
⑨変化の結果  
     赤に変わる   病気になる  
      円をドルに替える   服を背広に着替える
⑩使役の対象  (→「25.2 使役」)
      子供に行かせる   国に補償金を払わせる   
⑪受身の「元の文」の動作の主体(→「25.1 受身」)
     親に叱られる   雨に降られる   スリに財布をすられる



7.4  へ
 方向を示します。用法の狭い格助詞です。到着点の「に」と重なります。
  方向      行く・来る・帰る     戻す・置く


7.5  で
 用法の広い格助詞で、様々な副次補語を形作ります。
①動作の場所
     学校で勉強する   道で遊ぶ   ベッドで寝る
②道具・手段
     ペンで書く   車で通う   日本語で話す 
③範囲・範囲の終わり
     世界で最初だ   この中で選ぶ
     3時間でできる    3時で締め切る
④基準 
     規則で決める   日本円で千円   
⑤原因・根拠
     風邪で休む   声でわかる
⑥様子 
     浮かない顔で   はだしで
 ⑦主体 
     私のほうでやっておきます 
⑧材料
     木でいすを作る


7.6  と
 ①相互関係(→ 2.6、3.6.3、6.8)
      彼と会う  話す  約束する  結婚する  等しい  同じだ
②仲間
     彼と行く  子供と風呂に入る
「相互関係」の方は名詞文・形容詞文・動詞文のすべてに使われます。「仲間」は
動詞文だけです。
 並列助詞の「と」との違いに注意が必要です。(→「5.名詞・名詞句」)


7.7  から
 基本的には何かが発するところです。
①出発点・開始点
      外国から来る   部屋から出る   最初からやり直す
そこから動かす   棚から戻す 
     1時から始める  
②相手
      先輩から買う   店員から受け取る
 ③恩人  「に」でも言える 
     親からもらう   知人から借りる
④原料
     牛乳からチーズを作る
 ⑤根拠
       このことからわかる/明らかだ
 ⑥経由点
     窓から庭に出る  
⑦主体
     妹から送ってきた
⑧受身の「元の文」の動作の主体
     先生から誉められた(→「25.1 受身」)


7.8  まで 
 「から」との組み合わせで、ある範囲の終わりを示します。場所と時の場合は
「終点・終了点」と呼んでおきました。
範囲
      所    東京から京都まで
    時  2時から3時まで  朝から晩まで(一日中)
    その他  大金持ちから貧乏人まで(みんな)
         素粒子から銀河系まで (すべてのもの)
副助詞の「まで」は別です。(→「18.副助詞」)


7.9  より
よく使われるのは比較構文です。その場合、他の格助詞とは性質が違うところが
あります。くわしくは「17.比較構文」で述べます。
①比較の基準
     漢字はかなより難しい
②始点(書き言葉)
     これより始める  「文法辞典」より

7.10 格助詞の重なり
格助詞は基本的には相互に重ならないのですが、何ごとにも例外はあります。
 範囲の「NからNまで」は「が/を/と」の前に来ることができます。
     ここからが難しいのです。
     5ページから8ページまでをコピ-しました。
     この生地の長さは、テーブルの端から端までとちょうど合います。
 ただし、次の「と」は並列助詞の「と」です。
     AからBまでと、CからDまでは同じ長さです。
また、次の「と」は、連用修飾語を作るための「と」(「ゆっくりと歩く」の「と」と同じ)でしょう。
     西へ西へと歩いていった。
 格助詞の「と」は「が」の前に使われることがあります。何らかの動詞が暗示されます。
     決勝戦は彼とがいちばん多かった。(彼と戦う/試合をする)
 比較の「より」は、「が/を」以外の格助詞に接続することがあります。
(→「17.比較構文」)
     家からより学校からのほうが近いです。
なお、「の」はふつう格助詞とされますが、この本では名詞と共に補語となるものを
格助詞としたので、ここでは扱いません。分類上、名前を付けるとすれば「連体助詞」
でしょうか。「が」「を」「に」以外の格助詞と自由に接続できる点でも他の格助詞と
違っています。
     Nへの/での/からの/までの/との

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